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絶望に効く薬-125節 [漫画]

…ついに、「自分本人」に逢いにいったか…

山田玲司の最高傑作といっていいのではないか?
ヤングサンデーは、スペリオールなみに良品が多い青年漫画雑誌だが

その中でも一押しなのがこの「絶望に効く薬」

いつもは、コアな有名人に会いに行く。つまり他人のことを
描き、そして思うわけだ。(逆か。)

しかし、本編は、なんとインタピュー対象が「本人」

・常識という名の「情報」のこと
・漫画家(表現者)としての自分のこと

など、カミングアウトなどを交えて深く自分を追及している

実は、漫画とかブログとか表現ゼンブにいえるコトなのだが
連載ものは、乾坤一擲状態とだらだらぁ~んモードという
のが交互に作品に表れるのだ。それは、送り手のほうも
いつも眉間にしわをいれ目を三角にして肩と腕に力を加えて
書いていたのではミがもたないし、受ける方も
いつも唾を受けるわけにはいかない。

読者も、「あっ、今回はゆるゆるなんだね」
と捉えたならばゆるゆる楽しめばいいし、
「おっ、今回はまじまじモードか」
と感じたならば、座布団を用意して正座して背筋を伸ばして
(もちろんココロの中でだが)読むべきだろぅね。

…んで、今回の125節は、ゆるゆるモードではなく、
大真面のまじまじモードである。

是非、今週のヤングサンデーを「購入して」読んでもらいたい。

…と、ここまでは良品の紹介と宣伝であったわけだが、
2つのこという。

1.ジブンを描くこと

表現者も実はこの取材対象は一番身近で把握しているようで
描きにくく、苦手としている。それは、これに類するいろいろな
有名表現者の作品を見るとよく理解できる。たいていが
本当にあの才ある彼が書いたものなのかと思うほど
ホウホウノティの作品となっている。自画像を残さない美術家も多い。
必要以上に誇張したり卑下したり、
なかなかに鏡の中の自分をうまく表現できない。

しかし、本編は表現者の苦悩という切り口でとくに「絵」が
よく描かれていた。山田の味は、やはり、照れや焦りを交えたココロの
描写表現力にあるわけだが、
それをジブンという対象に使った勇気にはまず拍手を送りたい。

2.常識と情報と真実の、娯楽との関係

表現者は、イロイロな責任を担わされる。
全て受け手(金と時間をつかう立場の読者)にとっては

1)おもしろいこと(おもしろいは笑うとは別の意)
2)既知ではないこと
3)わかりやすいということ
・世の中にとって重要であること
・事実であること

だが、困ったことに 3以下についてと1)~3)は
相反することがある。これが悩ましい。

伝えたいことについて、おもしろく描けなかった場合、それを
漫画で伝えることは、編集長である仕事人に没をくらう。なぜならば
「売り上げ」に貢献できないからである。

ジブンが捉えた重要なことを伝えたい。これを商業的に展開
する場合表現者にはとくに悩ましい問題なのである。

なぜか?真実で重要なコトでも、面白くなければ、
漫画であることに関係なく、誌には載せられないからである。
このことに、気づいているヒトは少ない。(…と朱色会はおもう)

漫画だけではない。テレビも、週刊誌も、そして新聞とてそうだ。

情報と真実・表現物、そして何かのくくりで
公知なことと一方的に定義されている「常識」…

いうまでもないことだが、これらは全てことなる顔をもち
同じことを指し示していても、まったく異なる著わしをしている
ことを、
よくよく「受け手」は吟味の上で捉え、確認するべきことなのだ。


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四季賞「CURE」(前邑恭之介) [漫画]

前邑恭之介氏の「CURE」が【四季賞】を取った。

アフタヌーンは、珠玉な作品が、スペリオール並みに多いが、
「CURE」は、それらのレギュラー作品に引けを取らない出来栄えだった。
うーむ。さすが【四季賞】だ。

実は、あやうくアフタヌーン本誌⇒あとでよむためキープ。
付録⇒どぅせフィギュアでしょ。⇒ゴミ箱行きとするところだったのが

ガソリンスタンドで洗車待ちがながくなったので時間つぶしに
読んでみることになったのだが、洗車が完了したのも分からぬほどに
『入って』しまった。素晴らしい作品だ。

事故+闘病ものだが、少年のピュアな感情が
荒削りな表現のなかにも的確に表現されており、
大変感動した。

特筆すべきは、
病院の生活のリアリティある表現と、主人公の心理描写だ。
まるで、作者が経験したのではないかと思えるほどの
描写力で、それだけでもマンガのテキストと使えるほどだ。

また、映画のようなカットのきり方や
映像表現も素晴らしいといっておこう。

バイプレーヤとして出演している登場人物にも深みがある。
・看護士
・おじさん
・母
・主治医
キャラクターをよく捉えていて、出方のバランスもいい。

まっ、この映像の濃密さを連載でやるのはちょっと贈り手も
そして受け手も大変であり、賞取りとしての作品としてみる
べきところもあるのだが、それはそれとして作品に賭ける
前掛かりなひたむきさが絵にこめられている。

最近、描いていてマンネリを覚える同業者は
初心に帰る意味でも、読んでもらいたい。
もちろんマンガを愛している読者のかたにもお勧めしたいです。

さて、この作品は、アフタヌーン7月号のオマケ別冊です。
是非ご覧ください。

「映画」のような漫画。それが、「CURE」だ。
テレビドラマ化を希望します。

ーー
別冊化したのがいい効果となっていると思う。Vol.2なんだ。
Vol.1見逃したな。

ーー
さて、きっこの薦めたTV雑誌を始めて買って読んでみたんだが…
うーん。どの記事もそれほど「オッ」っというものがなかったんだよね。
きっこの紹介記事も、約6年で、ネット界事情通女王に君臨すること
になった理由の分析もない。
なぜこれほど読者(ブロガ)に支えられているのか掘り下げが足りない
など私が編集長ならばやり直しを命じるのだが…。
映画評はぐずぐずだし、ごめん。もう多分買わない。


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