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【書評】映画のような作品「ホムンクルス最終巻」 [漫画]

ホムンクルスが最終巻を迎えた。第15巻で、完結となった。山本英夫

前回絶賛した作品「ブラッドハーレーの馬車」に匹敵する名作となっている。
ホムンクルス最終巻は名作 003.jpg

『漫画でこれだけ描けるのか!』と、久々に漫画という表現に驚いている。
類稀な深層心理描写・テーマと、展開の読めないストーリー。比類なき題材

物質とこころに正面から立ち向かった著者の闘いの綴りと云えるだろう。

「わたしたちは、物質(モノ)と情報に溺れかけている。」

その結果、個人と個人はとても離れてしまった。
1homu.jpg

1000Km先の情報を容易に取得できる代わりに、5mしか離れていない隣人の関心を
消失したのである。

中身から外見(装飾)へ。

カネでは得られないものから、金で得られるものへ。

濃密で面倒くさいところから、シンプルでストレスのない処へ。

本作品は、そのテーマから離れず、作者なりの結論の到達を果たした。

このような作品は、ほとんどが自己破壊を起こし、収集がつかなくなり打ち切りか
作者逃走となり終了するのが常だが、この作者は自分を見失うことなく完結させた。

ぜひご覧頂きたいです。

他の読者の感想はコチラ

校了


「星は千の顔」高橋留美子、17年ぶりにスピリッツにお目見え [漫画]

本当に『久しぶりに』観た。連載ではなくて読み切り。
スピリッツ_2010_44.png

内容は、割愛する。印象としては

・TVギョーカイのサマリーおよび、そのスタッフたちの頭の柔らかさ

をさらりと描く。

高橋留美子+スピリッツ といえば めぞん一刻 だ。
音無響子さん級のキャラの濃さはないものの、それは狙いだろう。

巻末に感想をお願いしますとあるので、読んだ人のツイッター次第では連載・・・は、ちょっとムリかな(笑

in があれば out もある。

わたしは、細野不二彦のギャラリーフェイク単行本32巻が大好きだ。
正直にいうと、『泣ける』

留美子不二彦は、あの頃、双頭の鷲の頭だった(きっぱり。

興味のある方は、買ってご覧になってくださいね

校了


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【書評】沙村広明「ブラッドハーレーの馬車」 [漫画]

「衝撃」のひとことに尽きる。

 わたしも色々な漫画を読んでいるが・・・

「21世紀の漫画は、この一書から始まる」(きっぱり
510kjLUHwBL.jpg
20世紀だと・・・「ねじ式」となろうか。

この本には、「世の中」がすべて詰まっている。

貴族の「貴」とは、けっして【高貴】の貴ではない
ーー朱色会ーー

また、落伍者についても言及があり、ぎりぎりと読み手を締め上げてくれる

童心というものはなんと儚いのだろうか?

いつまでも「幼年期」でいられるほど、「この世」はアマくないのだ。

・・・ご覧ください

http://search.yahoo.co.jp/search?&p=%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC&fr=msie7&ei=utf-8

他のブロガのイケン。↓
http://blog-search.yahoo.co.jp/search?fr=msie7&ei=UTF-8&p=%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC

http://images.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BC&btnG=%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E6%A4%9C%E7%B4%A2&gbv=2

↓(すごすぎる。
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/109044299.html

わたしたちは、そういった始祖の末裔だということ。
それに、目をそらしてはいけないだろう。

・・・色々考えさせられる。

「純粋な物語(フィクション)」など、この世に一遍もない

ーー朱色会ーー

~~~

http://images.google.co.jp/images?gbv=2&hl=ja&q=%E3%81%AD%E3%81%98%E5%BC%8F

http://search.yahoo.co.jp/search?&p=%E3%81%AD%E3%81%98%E5%BC%8F&fr=msie7&ei=utf-8

http://blog-search.yahoo.co.jp/search?fr=msie7&ei=UTF-8&p=%E3%81%AD%E3%81%98%E5%BC%8F


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「極」。 [漫画]

ビックコミック「スペリオール」は、宇宙最強の青年漫画雑誌だ。
・・・それを再認識した。9.22号。
http://bc-superior.net/

以下はその理由。

1.新しい「視点」(着眼点)
「医龍」。いつもイイんだけど、画風が硬くなってしまってから
政治色がつよい医局ものになってしまってちょっと『う~~ん』としてたら
今週号は、久々にやってくれましたよ。

お医者モンの漫画では、登場人物の視線(視点の方向)として
「医者」⇒「患者」とか
「医者」⇒「医者」とか
「家族」⇒「患者」とか
「患者」⇒「患者」
…はあったが

「患者」⇒「医者」

っていうのがなかったなぁ。今月号で
的確にそれを表現しており、とっても「斬新。」
誰が、考え付いたんだろう。すごいです。朱色会もこれは
考えもしなかった。スゴイ(2回目)

登場人物のおじさん(政治家をやっていた患者)の
「…よぅ見てきましたよ。ああいうヒトを。」
というセリフで、『ほぇ~~~』と舌を巻いた。
…と同時にとてもリアリティがある。

お医者さんをやっていて、
「オレ、偉いやねん。」っておもっているヒト。
脳天から真っ二つにされるから、試しによんでみてちょ。
・・・ま、人生観念がかわるかもよ。

2.他に例をみない切り口とわかりやすい(ベタ)な比喩(表現)
「マネーの拳」。

商売について描いており、主人公の本流をはずさない行動やことばに
読者は魅了される。ま、ケンは、あまりにも若くして完璧なんで
すこしはくだけてくれるともっとキャラを好きになるのだが…

この作品の魅力は、『本当の人間のつよさ』というものを
ごまかしなくすっきりと、そして『素直』に描いていることだ。

墓穴の表現につき、いま、あえてあのような『ベタ』な表現ができる
作家は例をみない。いやっ、ヤめろというのではなく、どんどん
これからもやってほしいです

ひとの「強さ」を表すにあたり、ひとの弱さと醜さを的確に表現しており
その象徴もわかりやすく。読んでいて、すっとココロに進入してくる。

ケンのような人間は、この世に何人かは、いると信じたい

そして、おそらくはケンのような人間では「ない」経営者が
うようよいるのが『この世』であることも、間違いがないところだろう

3.温故知新
・・そして今週号のとどめ
極めつけは、【味いちもんめ】の「われ、ただたるをしる」
ココロの状態が最高になるためのことばとして、これ以上のコトバを
連ねるのは、無駄なことだろう。これを目指し、それに到達できれば
この世に生と性と正を受けた証と喜びとなる。

…うーむ。どれもこれもどれもこれもす・ば・ら・し・-
こんなんで270万円でいいのだろうか…?
ーー

編集者たちおよび作家たちにいいたいことがある。
「貴方たちの作る本は、【娯楽】を超えていますね。」

しかし、想像するにつぎのようなコトバが返ってくるだろう。
「…いいえ。超えてはいません。
 わたしたちは【娯楽】を極める『途中』なんです。」

うーむ。今日はホントにホメ殺しっぽいが。ま、いいか…
スペリオール…とはYAHOO辞書によると、
【上位の;(質的に)(…より)まさった, 高級な, 上質な, (…より)重要な, (…より)価値のある】
・・・名を体がきちんと著わしている雑誌のひとつだな。
(余談だが、上記のリンクのサイトにあるスペリオールHISTORYは
 秀逸だ。シャラポワとともに歳を重ねるスペリオール。雑誌も
 皆(読者)に支えられつつ、成長していく。)

いろいろとぐたぐた書いたけど、
とどのつまり、「おもしろかったです。」

さて、…となると朱色会から読者に、つぎのQをせねばならない

『貴方は、【何】を「極めて」いますか?』


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美味しんぼの『汗』 [漫画]

「美味しんぼ」は、朱色会の好きな漫画だけど、
特に好きなのは、連載初期の第1巻から第3巻あたりまでだ。

…で、最近の作品はあまり心に惹かれなくなってしまった。
なぜなのかちょっと考えてみると…次のようなわけだった。

1.顔からの漫符の消滅
漫符というとよくわからんという読者のために解説すると
いわゆる「汗マーク」である。
と、いうとわかっていただけるだろうか。

当初のキャラクターたちは、その作者と同じで
「直向さ」があったのだ。これはコミックをご覧頂くと
確認しやすい。最近の登場人物は、顔に漫符がないつまり…

「汗」をかかなくなったのだ。

「美味しんぼ」は特に国民的漫画であり、
・サザエさん
・亀有
・ゴルゴ13
と同じ【格】をファンより得ている。

作者・原作者の好き好きに関わらず、続けることを強いられている
そこに、マンネリが介入してきたようである。
とても登場人物が平板になっている。アニメキャラのようだ

最初の汗臭さがなくなっており、これはとっても残念なのである。
朱色会は、山岡ほかの出演者たちのあの「汗」がとっても好きだ。

「作画家のココロは、キャラクターに伝播していくものだ。」
当初のキャラクターは

・売れたい
・有名になりたい
・読者に覚えてもらいたい

という真剣さに漲(みな)ぎっていたとと思う
それは、いまも単行本を読み返すとそれはとても感じる

その一例が、秀逸なる漫符(汗)の表現だった
その作風が、読者の心に進入していったのである。

翻っていまのキャラはどのキャラも顔がきれいだ。
つまり
・悩み
・嘆き
・苦しみ
・悲しみ

がなくなってきたというわけで、それで汗をかかなくなった
作者を悪くいいたくはないが、
作者もそうなのではないかと穿った見方をしてしまう

つまり、漫画に対する新人のときのココロを忘れてしまって
いるのではないか

同じような料理もので朱色会が好きな漫画としては
「味いちもんめ」があるが、こちらのキャラクターは
まだ「汗」をかいている
真面目な汗は、伊藤くん。不真面目な汗はボンさんだ

2.父親との確執からの乖離
山岡と雄山の対決は、いかにして終結するのかは
朱色会がとても憂慮していたことである。
そして、その決着も、食の原点から導かれると考えていたのだが
これは、子供がうまれたことで決着がなされたのであろうか?

朱色会の不勉強なれば、それでいいのであるが
最近はこの線から逸脱し、いたずらに延命(引き伸ばし)を
図っているような気がして、大変憂慮している次第だ。

きちんと決着をつけて、<リニューアル>山岡とゆう子さんを見たい。
余談だが、この作品で一番成長著しいのは、ゆう子さんだ。

繰り返しになるが、連載冒頭の、あのいつくかの汗は
読者に『人生』を教えてくれるほどの「力」をもってい(た)
花咲アキラ氏におかれては、何卒あのときのキモチを取り戻し、
そのキモチを登場人物に再度投影してくれることを望んでやみません。

心配なのは、これをどこかで見た作者が「やっつけ」で、漫符を復活させることだ
読者の願いの本するところは、小手先では復活できない表現者としての
ココロの復元が肝要なことであると受け止めて欲しい。


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