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そ)それでもボクはやってない [映画(さ]

鑑賞記:そのとき、劇場は傍聴人席450席の小法廷となった。

この映画が、2007年の皮切りとなった。
読者の皆様、今年もよろしくお願いいたします。

~~~~~~~~

人(他人)が人(当事者)を裁くこれが裁判だ。
この映画は一見
・ケイサツ
・ケンサツ
・弁護人
・法曹界
のばかっぷりを表現している映画のようにみえる。

しかし、本当のテーマは

『人が人を裁くことのムズカシさ』
が根底に流れている。

エンターテナー監督として、映画人に認知されている
周防監督が手を出したのは、ななななんと『裁判』
いやー。手を出したって勇気にまずは敬意を贈りたい。

裁判官を志す人というのは
『大岡越前の上』を目指すのだろうか
はたまた「遠山の金さん」を目指すのか
いずれの場合も、事実を見通す【目】が要る。
そして、判を断じることができる『こころ』か?

ーーーー
ケイサツの機能と立場の著し方については
あのとおりだ。我々が税金で雇っている彼らのなかには
悪人に遭いすぎて心が壊れてしまったモノが存在する。
タイヘン哀しいことである。
もし、貴方が身に覚えのない誤認逮捕によって
取り調べるを受けることとなったら、
高圧で乱暴な態度を一通りご披露いただいたあと
こういえばいい。

「いやぁ、刑事さん。とてもスバラシイ『演技』でしたよ。
 どなたからこれを教わったのですか?」

このセリフだけで、もう高圧的かつ乱暴な態度を
止めてしまうから、機会があったら試してほしいね。

・・・ケンサツもしかり。

=========
そして裁判官の資質の問題。

基本的に司法試験に受かることで、
人間の最大の成長期である
思春期を棒にふった人間が【真人間】になるわけがない。

彼らは、世の中のことも紙のなかで起きていることと
いう認識しかないのだ。

裁判という小部屋が彼らのメシのたねの仕事場だ
彼らは人間というものがどういうものなのか?
会社社会というものがどういうものなのか?
人間関係というものがどういうものなのか?
知らない…「わからない」のである。
【人生経験】を著しく『欠損』した人間が法曹界を担っている事実
遠まわしなくこの映画はこの事実を伝えている。

裁判官に集められる情報は
「だれそれが、こういってます。」 これだけ。
基本的にこれだけで判断する。
後は参考にするのは判例だけ。

・・・それでも(彼らも我々の僕ではあるけれど
「心のかたわれびと」であったとしても
彼らに【判】をお願いせざるをえない。

ーーーーーーーー

朱色会の判断は

「人に、人を裁くことなど、ムリなことである」

ということだけだ。本映画は、それを再確認させてくれた。

前半でていたおもろいおじさんは、どこへいったんだろう。

・・・いったんコマーシャルでぇす。

====
<痴漢冤罪>映画のヒントになった会社員夫妻が本出版
1月20日10時55分配信 毎日新聞

 痴漢で起訴され、無罪が確定した東京都内の会社員、矢田部孝司(たかし)さん(43)が妻あつ子さん(40)と共著で「お父さんはやってない」(太田出版)を出版した。突然の逮捕、会社からの退職要請、心中未遂……。苦悩の2年間が克明につづられている。事件をヒントにした映画(周防正行監督)も20日、上映が始まり、夫妻は「えん罪に巻き込まれた家族の味わう恐怖を、ぜひ知ってほしい」と話している。【小林直】
 <刑事がまくし立てる。「お前がやったんだろう。常習だな!」>(00年12月5日逮捕)
 本は電車内で女性に陰部を触らせたとして、孝司さんが現行犯逮捕されるシーンから始まる。刑事は「車内の様子を思い出せ」と追及し、詳しく説明すると、副検事が「痴漢をやろうと様子をうかがっていたからだ」。眠れない日々が続いた。
 <「死ぬなら一家で死なないと」。夫はそういうと両腕で(長男の)首を絞めた。私は慌てて長男を夫から引き離した>(01年7月5日)
 起訴されると会社から自己退職を迫られた。無罪を主張した裁判でも有罪率99%超という現実がのしかかる。保釈された孝司さんはうつ状態になり、周囲に裁判支援を依頼したあつ子さんに「なぜ言いふらした」と当たった。「なぜ負けると決めつけるの?」。あつ子さんとの口論が続き、2人は疲れ果てた。
 1審の懲役1年2月を覆し、東京高裁で無罪を勝ち取るまでに2年かかった。03年に会社への復職が認められたが、中途入社扱いのため、年収が逮捕前の水準まで戻ったのは05年。今も電車が怖く、乗ると、のどに何かが詰まっている感じになる。孝司さんは「裁判官が簡単に有罪にするから捜査がずさんになる。ぜひ本を読んでほしい」。
   ◇   ◇
 本は300ページ、1524円(税別)。映画「それでもボクはやってない」は20日から上映中。

最終更新:1月20日10時55分

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周防監督ブログ(ココログ
http://www.soreboku.cocolog-nifty.com/blog/
ウェキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E9%98%B2%E6%AD%A3%E8%A1%8C
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俳優がたでいうとダントツは役所さん。すばらしい。

次点は、加瀬。君だ。すこしイジられ感が強いが、配役がアレだから
難しい役どころをよく演ったと思う。

あとは、最初の男のなんとか弁護人役の人。イイです。

セットはどれもとてもリアリティがある。法律事務所の紙のファイルの山とか
スタッフご苦労様です。
=====
評価:お正月ご祝儀で、78点。(チト辛いか。
減点部分は、もうちょっとエンタ入れてほしかったな。
主題の隠れ方が高等すぎます。もうちょっとシンプルに。
出演者のハジケ方が弱い。と、いうところか。
=====
正直なところ、この映画で著されているとおりなのだ。
判決の結果。ある人間だけに、【裁判官が】ただしい目と心を
持ち合わせているかどうかだけが判明する場

それが裁判というわけ。

つまり、裁定されているのは「判事」であり、
裁定しているのは「被告」および傍聴人席にいる
「原告」である。

裁判とは…それ以外のなにものでもない。

Yahoo映画:ユーザーレビュー↓
http://moviessearch.yahoo.co.jp/userreview/tymv/id325423/

Goo映画:ユーザーレビュー↓
http://movie.goo.ne.jp/review/movie/MOVCSTD9896/index.html?flash=1


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コメント 4

悠雅

朱色会さん、こんばんは。
>【人生経験】を著しく『欠損』した人間が法曹界を担っている事実
法曹界を、医療現場、教育現場と置き換えることもできますね。
何度、人間性を疑う人を「先生」と呼ばなければならなかったか。
そして、いつも困らされるのは、一番立場が弱い者だというのも同じ。
これが改善される日が来るのかどうか…

>最初の男のなんとか弁護人役の人。イイです
「当番弁護士」役の田中哲司ですね!
元々、観る気だったけれど、
この人の雰囲気が好きで、出演を知って喜んで観に行きました。
お話の内容は…喜べるものではなかったけどね(笑)
by 悠雅 (2007-01-22 20:34) 

朱色会

悠雅さん。こんばんは。

私がこれだけ断じられるのは、彼らのどぶのように腐った瞳をみる機会を得たからです。体験は、すべてのことばに優先するのです。眼差しが、「異臭」を放っていました。彼らのようにだけは、なりたくはないですね。

>これが改善される日が来るのかどうか
この悩みはとてもわかります。いやでもつきあっていかねばならない場合もあるし。。。できるだけ心の距離をはかるしか、ないでょう。

そうそう田中さんですね。彼が弁護士として自分の姿に狼狽するシーンがありますが、彼のひととなりがでていて好きなシーンですね。もっと活躍してほしいなぁ

・・・コメントありがとうございました。
by 朱色会 (2007-01-22 22:00) 

ジジョ

はじめまして(^-^)
>「人に、人を裁くことなど、ムリなことである」
私も同感です☆ TBさせていただきますね。
by ジジョ (2007-01-23 07:46) 

朱色会

ジジョさんはじめましてコメントありがとうございます。
レスポンスが遅れて申し訳ありません。

この映画の著し方としてもうひとついえるのは
カセが、触ったのか触ってないのかわからぬまま話が進行
していくのも面白かったかもしれませんね。

本編では、最初に冤罪と決定してしまっているため
その辺が「安心」して観れてしまうのがちょっともったいなかったなあ。
by 朱色会 (2007-01-25 00:23) 

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