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め)地下鉄(メトロ)に乗って [映画(ま]

鑑賞記:親子の愛を素直に描いている良品なるも、展開と決着は疑問が残る。

帝都1000万人の毎日の足となる、「メトロ」。
もはや都会人にとっては「日常」で欠かせない存在となっている。
日々の通学・通勤・買い物・デート・旅行など
都会人の日常に組み込まれている

いつもと変わらない「日常メトロ」の風景。しかし
メトロを利用する人は、ふと、誰もが思うことがある。

「あの暗闇の向こう側に、いつもとは異なる風景が
 現れはしないだろうか・・・」

浅田次郎。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%85%E7%94%B0%E6%AC%A1%E9%83%8E

…こうして、この原作者の人となりを再確認してみると
あのシーンの意味はこういうことだったのかと合点がいくものを
いくつか見つけることができる。

さて、それではそろそろレビュー開始。
そうそう、この映画の配給は松竹・GAGAであるため、
事前にみて非常につらく、きもちわるくなる「Save Our Movies」の
上映はナッシングなので、とても清らかなキモチで
映画に臨めることを報告しておこう。
それでは、はじめます。
ーーー

人は誰もが、何らかの「荷」を引きずりながら
歩き続いている。
「ガラガラ・ガラガラ…」

そしておそらく誰もが、なんらかの傷をココロに
抱えているものだ。

父を疎みながらも、父と同じように生きている男
主人公:堤真一(長谷部真次)
「貴方は父親と同じよ。」

母と同じ生き方をしている自分を悩む女
ヒロイン:岡本綾(軽部みち子)
う”、う”ずぐじィぃぃぃぃぃぃぃ~(結婚したい。)

そして!!俳優としてのパフォーマンスを今回も如何なく発揮してくれた男!
大沢たかお 兄ィ
出生時の2等兵から、大企業の老社長までぴちっと演じてくれました。
一人5役くらいやっとるな。(ま、ゼンブ小沼佐吉なんだけど)

戦後のオンナたちは、こういう生き方しかできなかった
それを好演しているのが、常盤貴子 (お時)

さて、お話の方は、父親と相容れない主人公がメトロに乗っている最中に
タイムスリップさせられ、父親の一生をみて、父親を理解し、
そして父親を許す物語だ。いってしまえばこんなところ。

同様のらせんで、ヒロインもこのスリップに巻き込まれ
母親の半生を見ることとなる。

スリップに地下鉄をつかうという「演出」は、観客の心の
入れ替えにも一役かっていて、観客をおはなしにナビゲーションする
良薬となっている。すっと荒唐無稽な話に没頭できる。これはいい。

演者の力量は、バイプレーヤも含めてすべて及第点以上。
とくに、岡本カラーは出色であるし、実直俳優の堤も真骨頂。
貴子の使われ方もよかった。しかしなんといっても
たかおさん。やるねぇ。

やや記号化した役ではあるものの、10代から末期までの男の役を
きっちりと演じきっており、俳優として
アブラ乗り切っております。トロですなオオトロ。
「痩せてみたり、太ってみたり、大変だったでしょう」

話のなかで朱色会が、心にのこったこと

戦後の混乱のなかの男たちの姿だ。

めしをくっていくのがやっとの中でも
「プライド」を失わず、知恵と元気で生き抜いていく
ものたちは、本当にイキイキとしている
あの時代ほんとうに餓死をするものがこの国にいたのだが
彼らの生き抜いていく様になんというかへんなことだが
うらやましさ
を感じてしまった。
明るく、豪快で、粗暴で、そして下のものには優しい。

いまの「男たち」は、どぅなんだろうね。。。

くわえて、女たちだが、
あの当時は好きな男がいてもその人と結ばれるのは皆無。
その代表として小沼夫妻が描かれている。
好きな人がいても、その人以外と結婚し家庭を築いていく
いまはあのころよりは。。と想いたいが
あんまり変わんないような気もするし、その辺は
いまの女たちが答えをだすことなので、これ以上はコメントしない。

途中の展開としておやっとおもったのは
やはり血縁のからみだが、この映画のテーマに本当に必要だったのだろうか?
ちょっと韓流で、朱色会はいやだったな。

それと、みち子が下した決断は、どうにも理解不能。

生きていてこそ、他人に幸福をもたらすことができるのであって
これほどの「親不孝」があろうかと想う。
この結末の仕方は、ちょっとアレでしたな。
好きなひとの幸福のために、自分は犠牲になるっでが、
それだばわがんねな。(←すみませんつい方言が。。)
生きていく強さというものは、そんなキレイごとじゃない。
生きていき、そして好きな人をみつけて、その人との幸福を考える
これがまっとうなことだろう

評価:62点

とはいえ昭和のセットは念入りにつくられており、
CGに頼らない「もの」による再現は、表現としてはよかたす。

そして、演者たちの熱演も心に響きましたよ。

「幸せでした。貴方のような人を父親に持てて、幸せでした」

「幸せでした。貴方のような人を母親に持てて、幸せでした」

父親や母親がいるものは、いつもこのことばを胸に持っているものだ。
そして、恥ずかしいためか、それを口にだしては云えない。

父親や母親であるものは、いつもこのことばを待ち望んでいるものだ。
そして、恥ずかしいためか、そのことばをまっていることをおくびにも
ださない。

・・・そしてそのことは、逆もしかり。。。
いつかは、朱色会も。。

人は、親と子の「リレー」のなかで、
『命』だけを運び続けている存在ではない
ーー朱色会ーー

いのちと他のもの、それは表現としてとても【単純なことば】だが、
もしそれがなんなのかわからぬ方は、スクリーンでご確認ください。

「幸せでした。貴方のような俳優に、観客として出会えて、幸せでした」

ーーー
お知らせ。
金曜日放映のNHK【にんげんドキュメント】は朱色会を感動の坩堝に
叩き込み、執筆不能にした『良品』です。
ご覧になった方もそうでない方も是非ご覧ください。
世界中の方に観て頂きたいです!!
(この作品は、NHK以外作れず、かつ放映できないしょう。。。)

再放送あり。詳しくはコチラ↓
http://www.nhk.or.jp/ningen/

他のブロガーのレビューはこちら。是非ご覧ください。お勧め。
http://blog-search.yahoo.co.jp/search?p=%A4%CB%A4%F3%A4%B2%A4%F3%A5%C9%A5%AD%A5%E5%A5%E1%A5%F3%A5%C8&ei


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コメント 2

いも

こんばんは!
毎度遅ればせながらのコメントですみません。
> めしをくっていくのがやっとの中でも
> 「プライド」を失わず、知恵と元気で生き抜いていく
>ものたちは、本当にイキイキとしている
その辺の描き方も良かったですね。
大沢たかおを筆頭に、俳優陣の演技はとても印象的でした。
しかしみち子の決断だけはやっぱり納得できないですねぇ・・・。
岡本綾さん、実物も綺麗(というかカワイイ感じ)で、
話し方もサバサバしていて好印象でしたよ☆
by いも (2006-10-26 23:29) 

朱色会

いもさん。。こんばんは。

いいなあ。。ナマ綾。いいなぁ~いいなああ。
>みち子の決断
うん。。おんなの観点からも違和感ありましたか・・・なかなかいろいろな意味でいい作品だけにあの部分の表現は残念なことと思ってます。次郎さんの原作は読んでないんですが、こんなくだりあるんですかねぇ。。
役者たちの熱演というか好演に拍手です。

さばだばさばだば(笑
by 朱色会 (2006-10-26 23:52) 

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