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こ)ココシリ [映画(か]

へんな題名だなぁ。「ココシリ」かぁ…。
ココリコなら意味も含めてしっているんだけど。うーむ。

映画のポスターを目をやるとなにやら男くさい連中が銃をもっている。
うたいもんくには感動という文字も。

よし、最近カンドーしてないのでこれにしよう。

完全に予断を断ち切り映画をみることは
無理なことだ。なにしろ題名と風説だけで映画ファンは
映画を観る前に自分で映画のストーリーを予測する。

多分、こうでこうでこんな映画なのではないか

例えば、まだ観ていないが観る予定の、大好きなあおいちゃんがでる
「初恋」という題名+予告編だけで、
多分このようなストーリーで、いいたいことはこんなところだろうな
と映画を観る前に予想構築してしまうのだ。

んで、映画を実際に観てすり合わせを行い、観客の想像を
贈り手である製作者が上回れば好印象となり、下回ればダメとなる。

しかし、この映画はまったくの素の状態で臨めたので、
答え合わせてきな鑑賞ではなくて、素直に観ることができたのが
幸いした。鑑賞中にいろいろ細かいことを捉えることができたのである。

この映画はなにかというと

・チベットカモシカの密猟者による乱獲
・と、それを守る有志による武装警備隊
が、「外側」の話

朱色会は、自分では世の中のこと、
かなり捉えていると自負(バスジフではありません)
していたんだけど。まだまだ、しらないこといっぱいあったね。
慢心でしかなかった。

中国内地の壮大な自然は、スクリーンでしか味わえない
ので、もし観るのであれば、映画館で満喫してほしいです。

圧倒的な中国の内地の自然のものすごさ。
描写力というよりもよくもこのような奥地までカメラを運んだな
という執念の方に驚いた

出演者も(失礼ながら)まったく知らない方ばかりだ。
しかし、それが、この映画の写実性を高めていて良いと思った。

朱色会が捉えたテーマ「内側」を述べる。

貧乏対貧乏
・カモシカを密猟するのも生活のため
そして
・カモシカの乱獲をやめさせるのも生活のため
両者は生活のためそれをやる。
ハリウッド映画だと、すぐその上の彼らを操作する存在の話に
いってしまうんだけれど、この映画はそのへんをばっさり捨てていて潔さがいい。
生活という名の(命)の取り合いは、哀しみを伴う。

密漁の棟梁の、「人間よりカモシカが大切か?」
というコトバ、きちんと反駁できる読者はいるだろうか?

自然と人間
・毛皮は、お金持ちの国に最終的には「納入」されるんだろね。
しかし、それを直接収穫したり取り締まり、自然に身をおくひとは
キケンとの隣あわせだ。

流砂でいなくなったり、銃で狙撃されたりしながら、
いくばくかの生活のための「金」を手に入れる。

また、この映画はなぜ、放牧民が密猟者に身を落としたのか
の説明がある。砂漠化が進み、羊たちがいなくなったとのこと。

さて、それについてもう少し掘り下げよう。
なぜ、砂漠化が進むのか?

砂漠化の下手人(国)はどこ?

すくなくても、地球的熱量換算でいうとチベットでないことは
確かなことだね。じゃ、どこなんだろね。

翻って、警備隊のメンバーの過去にも言及がある。
彼らも、普通の市民から食い詰めてきた寄せ集めだったのだ。
彼らに【街の仕事】があれば、どんなに崇高な仕事であっても、
彼らは、この仕事に出遭うことはなかっただろうな。

この話の語り部は、映画の主人公(?)である若いジャーナリストだ。

かれは隊長から、
「マスコミがカモシカを守ってくれるのか?」
という問いをもらったが(そのときは)応えることができなかった。

最終的にカモシカの絶滅をすくったもの
それは
・彼の書いた記事
ではあるけれど、
・現実に存在した警備隊の行動とその隊員の死
が政府の判断を動かしたのだろう。

だから、やっぱりカモシカをすくったのはマスコミではなく、
彼らの存在と信念と行動と死だと理解している。

隊長は、若いジャーナリストの申し出にしばし考え、
そして、「よし、こい」といった。あの刹那に、
隊長が考えていたもの。おそらくはこの映画のストーリーの結末と
同じことを考えていたのではないか?

そうでないと、もうそろそろキツイから帰りなさい
というはずである。

エンドロールでは、この映画が史実であることを告げられる。

…ということは、あの密猟者たちは、現実のなかで、
 どのような運命をたどったのであろうか?

冒頭にでてくる撃たれて死んでいる若者の写真

…あれは、「どっちの」若者なのだろうか?

あと、街の女と娘。細かいところまでよく行き届いた表現が映画通を泣かせる。


とっても真面目で、とってもいろいろなものを織り込んでいる映画
朱色会にとって、「ココシリ」はそういう映画です。

評価:(朱色会的に、という注釈をつけて)80点。
マジメルな映画が好きな方向きである。

ーー

あ~ぁ。彼らの警備隊のようにストイックな信念はもてないかもしれないけれど、
「会社」のためじゃなくて、社会や自分の信念のための「仕事」したいな~。
あと、信念を「共有」できる仲間もほしいな~。
ほしいな~(2回目。)

エンドロールが流れ始めてから、浮世の自分と映画のなかの人物の生き方を
比べて、まるっきり違うではないかということに少しだけ涙し、映画館を後にした。


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コメント 7

東京夢華録

コメントありがとうございます。
美しいブログとすばらしい感想ですね!
この映画私はPCで見たから、もう一度でっかいスクリーンで見たいな。
最近私がみた中国のドラマの最終回が、北京にいる主人公が波瀾万丈だった人生が、急に平和になっちゃって空しさをおぼえて、急に思い立ってココシリに行ってチベットカモシカの保護のパトロールのボランティアをして充実感をおぼえるという結末でした。
都市と対極にある過酷な自然を魅力いっぱい描きながらも、環境保護の現実は甘くないんだよと人間関係のおどろおどろしさをみせつけて観客をつきはなす、そこらへんが良くできた映画だと思いました。
by 東京夢華録 (2006-06-03 22:46) 

朱色会

東京夢華録 さんコメントありがとうございます。

パソコンで映画ってできるんですね。この映画は自然・人の大きさ広さがよく捉えられているので、スクリーンでみると迫力がすごかったです。
by 朱色会 (2006-06-03 22:57) 

わかば

はじめまして、朱色会さん。
ブログにコメントいただきありがとうございました。TB送らせていただきました。
他の記事も読ませていただきましたが、なんだか朱色会さんの文章とっても好きです。これからもちょくちょく寄らせていただきますね。
「ココシリ」レビュー拝見しましたが、そうなんですよ、「素」で映画に臨むのと、予備知識を持って臨むのとでは、かなり(もしかしたら全く)違いますよね。
それに気づいてから、タイトルや監督名、簡単な設定以外は、なるべく情報を入れないようにしています。映画館でも予告の間は目をつぶっています(笑)
でもそうするようにしてから、自分の期待度との比較という見方をしなくなってきて、(完全にはムリですが)前より純粋に楽しめるようになった気がします。
この映画、撮影がものすごく大変だったそうだし、多分そうなんだろうとも思いながら見た反面、その大変さを強調するようなところがほとんどないところも好きでした。
私も社会や信念のために生きたいんですけどね。なんだか…(もんもん)です。
by わかば (2006-06-09 23:45) 

朱色会

わかばさん。 コメントありがとうございました。
喜んでいただければ幸いです。わたしは映画はほんとぅにぶらりと入ります。
そして予断なく映画を楽しんだのち、自分が感じたまたは気づいたことをブログに書いています。これからもよろしくお願いします。
映画は、人生と人間を映すもの。もーん、もーん、もんもんしないで(笑 映画をお互いに楽しみましょう。
by 朱色会 (2006-06-10 21:00) 

わかば

こんばんわ。もう一言。
映画はぶらりと入る派、いいですね。
私は昔はチラシ熟読、予告編もじっくり見て、予備知識をかなり持って見る派でした。というのも、しょっちゅう映画館に行けるわけでもないので、ハズレ(とういのも失礼ですが)たくなかったのです。
が、ある時期、その予備知識こそがハズレの原因かもと気づきました。
映画そのもののよさよりも、自分の期待値との比較で観ていたからですね。
ま、固く考えず、ステキな映画に色々出会いたいなーと思います。
by わかば (2006-06-10 21:38) 

may

先日はTBありがとうございました。衝撃的な、でも素晴らしい作品でしたね。事前にテーマは知っており、真面目な映画だとは予測していたのですが、ここまで凄いものだとは思いませんでした。観終わって、時間が経てば経つほど、この映画の持つ力について、いろんなことを考えます。
by may (2006-06-11 23:52) 

朱色会

mayさん。コメントありがとうございます。
人間の卑小さとくらべるとココシリの圧倒的かつ壮大な美しさは、カネのために奔走する人間の姿をいよいよ際立たせていると思います。朱色会が入った映画館も入りは悪かったのですが、是非スクリーンでじっくりと観て欲しい映画です。(So-netの長時間メンテナンスがあり、回答が遅れ申し訳ありません。)
by 朱色会 (2006-06-12 16:09) 

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