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た)タイフーン [映画(た]

休日のアサイチの劇場に座る映画馬鹿の末席に加えていただき

「タイフーン」の上映を待つ。

今日はいつものキャラメルポップコーンをやめ、新発売(爆発ふきだし)
と店頭にあった、チョコレート味に変えてみた。
うーんしかし、やはりキャラメル味のほうがやはり、
「キャラ」が立っていた…当たり前か?(笑←どこで笑うの?

さて、冗談はさておいて

この映画の根幹のテーマは、今も続く隣の国の「南北分断」
したがって安いことはいえないな

といいつつ講評に入ろう…。
そうそう。コレ以降は、ブログ始まって以来の【最大マジメモード】でいく。

読者は、このブログを見る、近隣の半島全体に縁がある方を
受け手の対象として書きます。

映画が終幕したあと、
わたしはときどきではあるが「足腰が立たないほど」感動してしまうことがある
この映画はそういう映画だ。非常に良かった。
いや、良かったということばが語弊があるなら謝る。
韓国人の悲しみを理解したといいなおそう。

物語が観客に大いなる影響を与える要素として、私が重要視したいのは
どれだけ現実の何かについて表現しているか、繋がっているかにつきる。

あの物語として片付けておきたい
亡命と軍のだましのエピソードは、違う惑星でおきた未来の話ではないのだ。

この国の隣の国で、しかも半世紀をまたずにおきた事実を題材としている。
そして、そもそも、その物語は、「終わっていないのである。」

今も2つに分かれた祖国は厳然として存在しており、あろうことか
いまも家族が2つの国で別れ離れになり、消息不明だったり自由に会うことはできない。

韓国の非業な歴史が起きたころ、
やっとこさこの国は、なんと【軍儒景気】により、
ぐたぐたになった敗戦の経済状態から脱却し、現在の
「東洋の奇跡」といわれた経済復興の礎を築いた。

「いったい誰のおかげで?」

翻って鎖国などの自国の政策の失策もあるものの
戦争によって隣の国の産業復興は日本より20年は遅れることとなった。
さらに自分の国のどまんなかに国境ができたばっかりに
いまでさえ余計なコストが国にかかっている。
これは有形無形を問わず、どっしりと南北両国の経済の重しになって
いることに間違いはない。

韓国人のココロの中には、そういうわけで、
常に「小さな台風」が渦巻いている。
「この壁(金網)はナニ?」
「なぜ?………?」

日本にもかつて実は戦争はあった。信じがたいことであるが
史実だ。しかし、もう大多数の国民は自分と戦争を切り離して
考えている。平和ボケなんて表現はすでに言葉として足りない。

だから、韓国人は日本人にたいする一般的な印象は
なんてぼけらっとした緊張感のないヒトたちなんだ。島国のヒトだなーとなる。
そういわれてもしかたのない振る舞いやいでたちの人が多くなった。

映画に話をもどす。タイフーンとは、韓国人の心に棲む、台風を題材とした映画だ。

ナゼ、別れ離れなんだ!いいかげんにしろ!!

という気持ちは、韓国を祖国としているヒトならば全員が思っていることなのだろう
そして、この映画はそれを、それだけを描いている。
私にとって風船バクダンとか、船の火柱とか、米軍の潜水艦とか
そんな子供だましな材料は必要ない。それは、次に述べるシーンのせいだ。

印象に一番のこるシーンは、やっぱり、
シンとミンジュが再開するシーンだろうか
あのシーンを思い出すと今書いていても涙が浮かぶ
姉と弟は、再会を果たしたが、お互いがわからない。
数刻の沈黙があったあと、おそらくは何回か行った「儀式」を行う。

「分かれたときの状況は!!!」

そうして話の途中で、本人であることがわかり、
話は途中で終わり、二人は肉親を力いっぱい抱きしめあうのだ。
(…いかんまた、胸がつまってきた)

あとはせつないシーンとして覚えているのは
弟が、もう余命が少ない姉に
「もう、いっしょに家族のもとにいこう」
というところだ。

…あと、あまり記事として書きたくはないところだが
姉が弟のために、お饅頭をもってくるところ。
…………戦争で失うものは、命や体など目に見えるものだけではないことを
この映画は包み隠さず表現している。

…………………お話だけのことにしてくれとココロから思うんだけど

本当に何十年か前、こんな姉弟と似た境遇の人が、あの国には本当にいっぱいいたのだ。
そして、繰り返しになるけれど、このような家族またはこの家族をルーツとする
者たちは、この世に存在する…。

映画の話にもどす。

やはりチャン・ドンゴンはすごいね。
非業な運命を辿る主人公の宿命を、自分の心と体を改造して映画に臨んだ。
あの哀しみにみなぎった睨んだ視線は、観た人のココロに永く残ることだろう。

姉役のイ・ミヨン
出番は少ないものの、悲劇のヒロインとしての役どころを完璧にこなしていた。

シンの行動を察知し、国のために仲間とともに阻止するイ・ジョンジェ
寡黙で実直な軍人を好演。

…シンとミンジュは、船の旅路の果てに、ご両親に逢えたのだろうか?
2人の顔には、この世で受けた苦しみや悲しみをすべて捨てさった
何からも解き離れたような表情が印象的だった。ここが真のラストシーンだ。

現実の世の中も、
いつか【タイフーン】が過ぎ、この2人のように本当に穏やかな笑顔で笑いあえる
家族だけになることを、切望してやみません(泣

…今まで韓国映画を12本観たけれどそのトップに躍り出た映画
タイフーンとは私にとって…そういう映画です。

評価:95点。
(満点でもぜんぜんかまわないが、尺がちょっとだけ長く感じたのと、
 余計なラストシーン(数ヵ月後のイージス艦)があるので。減点した
 エンドロールで、また泣いてしまった。必見。

これから観るかたで、もし日本人の方は、ちょこっとでも
韓国の歴史を勉強してから臨んだほうが、さらに深くこの映画を理解できます。

この映画の製作に携わったみなさんへ。
「いい映画を、ありがとう。」


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はじめまして、kurumiと申します。
突然のコメントで失礼します。

私は韓国映画ファンでこの作品も観に行く予定をしています。
何も知らない状態で映画を楽しみたくてあえて宣伝番組なども見ずにいましたが、こちらを覗かせていただき逆に興味がわきました。
期待を裏切らない映画であると確信もできました。
おかげで観に行くのが楽しみになりました。^^
by (2006-04-10 01:28) 

朱色会

Kurumi さん。当サイトへの訪れ誠にありがとうございます。
神戸タワーの近くにお住まいなんですね。はじめまして。

映画監督は、映画を始めるとき、「このシーンだけはきっちりと気合を入れて撮ろう」と決めているものなのです。受け手である私たちは、どのシーンが「それ」なのかを当てることで、さらに映画を観るということの面白さを高めることができます。そのためには、映画の「対象・題材」をよく『知る』ことがとても大切です。(しかし、一番大切なことは、映画を楽しむということなので、私の言っていることは一意見として、kurumiさんならではのやり方で『タイフーン』を楽しんでください。)
by 朱色会 (2006-04-10 08:26) 

こちゃフーン。

これぞレビュー!という感じですね!

こっちゃんも実は同じくらい感激しました!(本当だよ)
記事はあんなんですけど。

「南北分断」・・・まったくもって重いですが
これが現在進行形の悲劇であるというのがその重さに拍車をかけますね。
この映画はそんな国に生まれた人々の「悲しみ」から「願い」までが
シッカリした形で描かれていた力強い作品だと感じました。

韓国ならではの題材というか「問題」でもありますが
正にタイフーンのような激しいメッセージ性をカンジました。
(細かい点では荒い作りもあったように感じましたが・・・)

何よりの収穫は韓国映画で真央ちゃんに出会えたコトでした←まだ言うか!

コメントありがとうございました~♪(^o^;
by こちゃフーン。 (2006-04-19 01:45) 

朱色会

こっちゃん さんコメントありがとうございます。

私は、貴ブログの『こっちゃん節』好きですね。
これからも「楽しい」記事をお願いします。

タイフーンはお金もかかっていますが
つくり手の想いもかなりかかっている映画ですね
あの国の映画界は、欧米型映画ビジネスを踏襲しており、ニポンとは映画の作り方がどちらかというがハリウッドを手本としているようです。+アジア的な魅力があり、目が離せませんね。
by 朱色会 (2006-04-19 09:30) 

可愛い英子

韓国映画にはまって見ていると、このような分断された一つの祖国が作品になっている、韓国人の心に強く陰を落としているのだろう!
現在、北朝鮮との境界線警備をしている韓国四天王の一人、人気俳優のウォンビン氏は、今もつずく脅威と相対している。
この映画は、一つの祖国として仲良くしたいと思いながら、韓国のネットアンケートで一番脅威を感じている国「北朝鮮」にメッセージを送っているように思った。タイフーンは、心は一つになりたいと願い苦悩する韓国を表している。
by 可愛い英子 (2006-05-14 18:17) 

朱色会

可愛い英子さんコメントありがとうございました。
祖国の統一はあの国の悲願だと思います。私も早くその日がくることを願っています。
by 朱色会 (2006-05-16 14:51) 

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