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ち)父親たちの星条旗【Flags of Our Fathers】 [映画(た]

「∞」。

・・・この作品は、2部構成作となっているため、必然的に
「∞+∞」になるか、ことによると「∞×∞」となるかもしれない。

1930年生まれのこの監督は、私たちに鉛のように重厚な感動と問いかけを
投げかけてくる。観終わっての感想として、まずは、このことばをいいたい。

「Go, movie theater.Now ! 」

鑑賞記:「セピア色になりかけのフィルムが、『今の』私たちに語りかけることは・・・」

硫黄島の戦いについては、以下の2つが詳しい。よろしければ・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E9%BB%84%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Iwo_Jima
「ショーグン(司令官)」のような貫禄のクリント・イーストウッド監督。

主演のライアン・フィリップ。クラッシュの坊やがこんなに成長した。
http://blog.so-net.ne.jp/shuseki-kai_org/2006-03-12
映画俳優は、映画のなかでその時代のにんげんを演じ、そして成長していく。





摺鉢山は、すべて(彼らの一部始終)をみていた。






強大な物資といっても、もちろんそれらは『タダ』ではない。つまるところ…
すべては「経済」戦争なのだ。








・・・あれから、なんと61年余が経った。
摺鉢山は、静けさの中にいる。あるのは、波の音と、風の声だけだ。
あれから、大分経つのであるが
…「わたしたち」自身は「変わった」のであろうか?

http://www.iwojima.jp/data/handbill.html
http://www5f.biglobe.ne.jp/~iwojima/
http://www.iwojima.jp/

他のブロガさんたちの意見(↓)
http://blog-search.yahoo.co.jp/search?p=%C9%E3%BF%C6%A4%BF%A4%C1%A4%CE%C0%B1%BE%F2%B4%FA&ei=

最近は、朱色会自身も「ことばの空しさ」を感じつつも、ことばを吐いている。
それで、映画の絵に自分の言をまぶすのではなく、完全に分離してお届けしてみる。
そうそう、この映画の配給はWBなので、極悪意気消沈CM
「Save Our Movies」は、とにかくも断腸の思いではあるが、直前に放映されるので
我慢してみてほしい。

さて、…と、はじめる。

今まで、色々な戦争映画が作られ、様々な戦闘シーンが生まれて
きた。この映画は、それらを「結集」した秀逸なものとなっている
「戦闘シーンが好きな」観客も短時間ながら
入場料のもとが取れる出来栄えとなっている。

…にしてもだ。やはり舌を巻いたシーンは
「例のシーン」だね。
・・・照明弾とカメラのフラッシュを合わせるなんて
誰が思いついたんだろう。劇場の席で、ほぇ~と
唸ってしまいましたよ。

戦争には欠くことができない【存在】がある。
それはお金とか高機能な兵器ではなく、
血を流し、叫び、
そして生きて笑顔で帰ることを許されない「兵士」だ。
戦争を始め、遂行し、継続し、終結させるモノたちは、
それについては用意周到だし、綿密に、かつ細心の注意を
払ってそれ(兵士)を扱う。

そして、大概のばあい、その役目をおおせつかるのは
貧乏人のせがれだ。

戦争学を紐解くと、損耗率というものがある。
派兵した人的数(いのちの数)と、帰還する数の割合だ。
100人して、帰還0(全滅)したら100%
…んで、損耗率がいちばん高いのは、最前線の緒戦だ。
だから、緒戦に選抜されて名誉などと思ってはいけない。

おれ、安い命なのね。

・・という判断でOK。カーネル(大佐)やジェネラル(司令)が
上陸するのは、ひとわたり戦闘が一段落してからだからな。
大学上がりの参謀達は、海辺の水を自分のブーツに
浸み込ませたことはない。

戦争の「現場」に英雄はいない。
在るのはわけもわからず罵る上官と、
逃げ惑う兵卒なのか。

私たちが、無垢にも引き金を引けるのは、
『相手』の笑顔をみた経験がないからに他ならない
ーー朱色会ーー

・・日本は、「あの時」アメリカとやりあうため、
「皇国」になるほかはなかった。
両国の戦争のエンジンとなったのは
アメリカは、「興行」力と金
・・・金は、実はつきかけていたんだね。それで『戦争債』
そして日本は、島国ならではの「自尊心」(プライド)か。

戦争を始める力の源は、息子たちを送り出す
「親」の浅はかさ、幼さにある。
ーー朱色会ーー
…小難しいことを吐いてしまった。要は
「国家の未来なんて謳い文句に乗せられて、自分の息子の命を
賭けるな」ということだ。それを賭けてしまったものの未来は、いつも・・・
決まっている。

人類がこれまで得た「戦争映画」の集大成といえる作品だ。
是非、大きなスクリーンで、ご覧になってください。


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コメント 8

こっぱ

TBありがとうございました。
この映画でもジェネラルが上陸するシーンがありましたが、実際はまだ北部では激戦の最中だったみたいですね。次の「父親たちからの手紙」も楽しみです。
「「国家の未来なんて謳い文句に乗せられて、自分の息子の命を
賭けるな」」ということだ、とおっしゃってましたが、まさしくそのとおりだと思います。
by こっぱ (2006-10-28 23:11) 

朱色会

こっぱさん コメントありがとうございました。
>いかにヒーローが作られて、捨てられていったか。兵士たちは本当にヒーローになりたかったのか、ということに視点が…
というこっぱさんのことばは、この映画をよく言い当てているなと感じ入りました。「戦争」のヒーロー・ヒロインは、『目的』をもっていつの時代も作られていますね。昔も、そして「今」もそれは変わらないことです…
by 朱色会 (2006-10-29 09:18) 

ノラネコ

コメどうもでした。
いやはや凄い映画でした。
エンドロールから、今観たばかりの映画が自分の中にジワジワと広がってきて、私もしばらく立ち上がれませんでした。
今はとにかく「硫黄島からの手紙」が観たくてたまりません。
一ヶ月以上の間が恨めしいです。
by ノラネコ (2006-10-30 00:05) 

朱色会

ノラネコさん。コメントありがとうございます。
>本作の現在性は明らかだ
・・・という問いかけに同意。戦争のアジテーションというか「演出」に引っかかってしまう国民。それは、昔もそうでしたし、「今」も変わりありません。
この映画2編は、2編にわけることで、より「戦争」を著しているとおもいます。早く観たいな。はやくぅ!
by 朱色会 (2006-10-30 00:36) 

まなてぃ

こんばんは、朱色会さん(^^)
私も先週の日曜日に、観てきました。
アメリカの激しい戦闘とその裏事情、1つの映画で2つのテーマを
見せてもらえる秀作で良い映画だな・・と思いました。
実のところアメリカも財政が窮していて、戦争債を発行し太平洋戦争を
やっていたということを今回、初めて知りましたね。
てっきり日本に対して財政面では楽勝だとばかり思っていたので、
これは意外な事実でした。
この2部作については、アメリカ側の視点であろうと、日本の視点であろうと
できるだけ、冷静な目で見たいと望んだ映画でした。
この『父親たちの星条旗』に関しては、それが自分なりに出来たように
思えたのですが、この映画上映終了後に流れた『硫黄島からの手紙』の
予告編は揺さぶりをかけられ、自分の中でマズイな・・という感じを
受けましたね。どちらの国も加害者も被害者もいるのにも関わらず
どうも自国を贔屓にしたい気持ちがでてくる。(--;;)
次の『硫黄島からの手紙』まで一ヶ月あるんで、気持ちを平静に戻して
しっかりと観たいものですね。
by まなてぃ (2006-10-31 18:42) 

朱色会

まなてぃさんこんばんは。(^^)長文コメントありがとうございます。
このことは、手紙編を見た後で書こうとおもっていたことですが、先に書いておきましょう。この映画は内容も素晴らしいのですが、構成もすばらしいのです。何をいいたいかというと、描きたいものが多く、長くなるので、前編・後編に分けるのではなく、「戦争」を著すため、両国の見かたから2つの作品に分けたことです。この2編は、実は手紙→旗の順でもよかったのでしょう。そのことをいいたいがため、実は、わたしも絵と文を今回わけてみました。読まれたかたがどれだけそのことに気がついてクレタ島かわかりませんが(笑
今回の映画でいちばん秀逸だとおもうのはこのことなのです。ネタバラっぽくなってしまうのですが、次回は今度はほとんど米兵は登場してこないのでしょう。穴にこもった日本兵が未来に託したものは?その観点で、朱色会も手紙編に臨む予定です。楽しみですね。
by 朱色会 (2006-11-01 00:18) 

TATSUYA

達也です。
土曜日に二度目の『父親達の星条旗』を観に行ってきました。
前2作のヘヴィーなメッセージでは飽き足らず、
クリントじいさん、またもやってくれました。
この硫黄島2部作、完全な確信犯です。
あえてアメリカ側の作品に感情移入するようなメジャーな俳優を起用せず、
複雑なフラッシュバックで観客を翻弄し、
客観的メッセージをクールに送っています。
偽の星条旗に込められたダブルのジョーク。
アメリカ人はこの映画を、どう観るのでしょう・・・。
まして、双子の『硫黄島からの手紙』を。
日本サイドの方は、徹底して感情移入と自己同一化を
狙っています。
おねむな日本人も、このカウンターは効くでしょうね、
きっと。

P.S トラバさせてくださいね。
by TATSUYA (2006-11-14 21:01) 

朱色会

達也さん。ずいぶんと熱いメッセージありがとうございました。
>死んだように生きる日本人への…
活きるということばがこの世にはあるのですが、日本人は随分とこれから疎くなっている気がします。巷でおきる事件や、覇気のない若者たち。貴方のようにこころに火を持っている人は、ほんとうに少なくなりました。この映画は戦争を描くことで、現代の私たちに強いメッセージを贈っているきがします。わたくしも、手紙を心待ちにしているひとりです。TBありがとう。
by 朱色会 (2006-11-15 00:11) 

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