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し)親切なクムジャさん [映画(さ]

千葉のミアマーレでは、ミニシアタとして
旧作を700円で観れるキャンペーンをやっている。

それで、見逃していた『親切なクムジャさん』を拝見した
客席は少なかったが、3連休最終日ということで意外と入っていた。

ーー
ヒトの中心にある存在は、善かそれともそれとは異なる存在なのか?

復讐は、復讐の根となったものをとってはくれない
空しさだけがつつみこんでいく。

ヒロイン イ・ヨンエといえば
韓国女優の頂点に君臨するひとで、やはり日本でも何回も放映されている
朝廷料理人ものが有名だ。控えめな善な女を『演』じる姿が
多くのヒトに好感を持たれている

この作品は、巷では復讐3部作ということらしいが

連作というカンジはしなかった。

復讐者に特化した絵を撮りたいのであれば
イ・ヨンエの才能をもってすればもっと演れそうなきがした。

悪役からヒーローまで総てを演じきれる
役柄の幅広さを如何なくなく発揮するチェ・ミンシク。
才能を魅せてくれる。

R-15指定なのは食卓のシーンなのだろうか?
ほかに思い当たらないのだが…
アレは観客が『驚くところ』なんだろうね。うーむ。

さて、それではこの映画をどう読み解くかだが…

善人が悪人になったり、悪人が善人になったりするときは
自然にそれがおきるわけではない。いずれの場合も『外』からの
強烈な働きかけがおきるわけだ

クムジャのケースでいえば
監督がしつこく描写する前半のシーンにヒントがありそうだ

妄想と現実が交差する。

どこからがクムジャの妄想で、どこからが現実なのか
そこにヒントがある。

クムジャの自己の罪の意識はどこにあるのだろう。

『18にもなればどの女でも体験すること』
というコメントにキーがあるのかなと思った。

彼女は自分の子供を手放した。

それは、ペクに出遭う前のことだ。

4人の子供を、ヨットや快楽を得るために誘拐殺人したペク。
それに翻弄される4つの家族。いや、もしかしたら
収監された女刑務所そのものも・・・

彼女の妄想だったのではないか?
そんなことを考えた。

現実問題として、私刑(リンチ)がこうやすやすとそして
粛々と行なわれるのはちょっと無理があると考えたほうが
リアリティが増す。また、里子に出した娘を生みの親が探し出すのは
ほぼ不可能だ。すると、コレはなんなのか?

すべて、彼女の『心の中でおきた現実』なのでは?

愛する子供を手放す(←すでにここに矛盾がある

水族館からこっち。彼女は、正常な考えをもつことが
できなくなったのだろう。つまり、他にどうしようもなく
『あること』をしたのではないか?

1シーンだけ登場する大人になった犠牲になった子供。
このあたりに、作者のいいたい答えがあるのだ。

・・・いま、残虐な事件がいちばんおこる国はどこだろう。
…お隣の国も、日本と同じだけ酷い出来事が起きているのだろうか?

…終幕直前に雪が静かに降り始める。
人間の中心にあるものは、どちらか応えはない

雪が世界の総てを包みこんでいく。
・・・そうだ…ゼンブ白くぬっておくれ。冒頭に出てくるヒトの手が
白い粉で覆われているように…。

それほどに、今の『世の中』は…黒い。

・・・パク・チャヌク監督。こんなところですか?
「オマエは、俺だ。」


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